こんにちはteruruです。
今回は、1979年に発売された『U.K.』のセカンド・アルバム『Danger Money』をご案内致します。
『デンジャー・マネー』は、『プログレッシブ・ロック』のサウンドの位置付けのアルバムになります。全体的に『ダークでハード・ロック的なパワフルなサウンド』で非常に聴きやすいサウンドです。
ファースト・アルバムでは、ドラマーの『ビル・ブルフォード』と、ギターリストの『アラン・ホールズワース』が在籍していて、『キング・クリムゾン』プラスアルファ的なサウンドでしたが、今回『ビル・ブルフォード』からドラマーの『テリー・ボジオ』に替わったことにより、『ハード・ロック的なサウンド』に変化しています。
このサウンドの変化に関しては、好きか嫌いか好みによると思います。アルバムの出来としては文句なしの素晴らしい仕上がりですので、『U.K.』を初めて視聴する方でも楽しめる内容だと思っています。
特にカッコよく仕上がっていて、どの楽曲のメロディーも存在感があり素晴らしいです。
ダークでスぺーシーなハード・プログレッシブ・サウンドのポイント
- エディ―・ジョブソンのダークで知的な作風
- テリー・ボジオのストレートで弾ける様なパワフルなドラム
- ジョン・ウェットンの素晴らしいメロディー構築とパワフルな歌唱力
エディ―・ジョブソンのダークで知的な作風
前作の『U.K.』では、全体的に宇宙にクール広がるようなサウンドでしたが、今回のアルバムは楽曲『デンジャー・マネー』で始まるように『ダークでスぺーシーなサウンド』を展開しています。
特に『エディ―・ジョブソン』の格調の高いソング・ライティング・センスが遺憾なく発揮されていると思います。
当時の『ムーグ・シンセサイザー』の音質の影響もあるのかとも思っています。現在の抜けのよいキーボード・サウンドに比べて、当時のキーボード・サウンドはある意味艶があり、飛び出る様なサウンドが特に『デンジャー・マネー』楽曲群とマッチしているような感じがします。
『イエス』でもなく、『エマーソン・レイク・アンド・パーマー』でもない完全な独自のサウンドを作り出していることが、この1979年という『プログレッシブ・ロック』というジャンルが終わりかけていた時期に作り出していたことが素晴らしいと思いました。
テリー・ボジオのストレートで弾ける様なパワフルなドラム
『デンジャー・マネー』では、『テリー・ボジオ』がドラムに参加したことによって、完成度は物凄く優れたものになったと思います。
『ザ・オンリー・シング・シー・ニーズ』『シーザース・パレス・ブルース』『キャリーイング・ノー・クロス』は、『U.K.』のファースト・アルバムのツアーで披露されていた楽曲で、ほぼ完成されていましたが、『テリー・ボジオ』がドラムを叩くことで更にカッコ良いサウンドに変化しています。
特に『ザ・オンリー・シング・シー・ニーズ』では、その影響は顕著に出ていて、ライブの度に空間を自由にリズム・テクスチャーを組んで叩く『ビル・ブルフォード』とハード・ロック的にストレートにパワフルに叩く『テリー・ボジオ』のドラムで全く違うアレンジになっていることに驚きます。
『テリー・ボジオ』は、『フランク・ザッパ』のバンドで、ライブ・アルバム『ザッパ・イン・ニューヨーク』での『ザ・ブラック・ページ・ドラム・ソロ/ブラック・ページ#1』での正確無比なパフォーマンスで有名になりました。このライブ・アルバムには、『エディ―・ジョブソン』も参加していました。その関係もあり『U.K.』に参加することになったようです。
特にアルバム『デンジャー・マネー』に完璧にマッチした素晴らしいドラミングを披露していて素晴らしいです。アルバムに独自な個性を与えていると思います。
ただ筆者の個人的な意見としては、ライブごとにリズム・テクスチャーをアレンジする『ビル・ブルフォード』の方がライブでは楽しめるのかなと思ったりもします。
ジョン・ウェットンの素晴らしいメロディー構築とパワフルな歌唱力
この『デンジャー・マネー』でも『ジョン・ウェットン』は、相変わらず『説得力のあるメロディー』と『パワフルな歌唱力』が素晴らしいと思います。なおかつ『知的なベース・ライン』をプレイしながらというのも凄いと思います。
『キング・クリムゾン』や『U.K.』のファースト・アルバムでは、インストゥールメンタル的な楽曲群の間を割って歌の楽曲を配置していた感じがします。
特にこの『デンジャー・マネー』から『ハード・ロック的な趣向』となり、結果的に『ジョン・ウェットン』のヴォーカルを主体で聴かせるスタイルが形成されてきたような感じがします。
その後に『ジョン・ウェットン』や『スティーヴ・ハウ』によって結成される『プログレッシブ・ロック・バンド』の『エイジア』は、楽曲のスタイルがシンプルとなり素晴らしい楽曲とメロディーを生み出していく事となります。
そういった意味でも、このアルバムは重要な作品であると思います。どんなに素晴らしい楽曲であったとしても、素晴らしいメロディーとパワフルな歌唱力がなければ名盤にはならないと思います。
Albumlist |
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1. Danger Money |
2. Rendezvous 6:02 |
3. The Only Thing She Needs |
4. Caesar’s Palace Blues |
5. Nothing to Lose |
6. Carrying No Cross |
Players |
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John Wetton – Vocal, Electric Bass |
Eddie Jobson – Keyboards, Electric Violin |
Terry Bozzio – Drum |
楽曲解説
1. Danger Money
ダークヘヴィーでメカニカル的プログレッシブ・ロック・ソング。
『ムーグ・シンセサイザー』や『ハモンド・オルガン』を駆使して独特なダークな空間を演出していて、『キング・クリムゾン』の『レッド』を思わせる様な部分もあります。『コーラス・パート』の『移調』は印象的に響いていて『プログレッシブ・ロック』らしく感じます。『テリー・ボジオ』のヘヴィーなドラムもインパクトがあります。
2. Rendezvous 6:02
クラシカルなフレージングが散りばめられた悲しげなバラード。
クラシカルな『エレクトリック・ピアノ』で全体を包み込んでいて、鮮やかに響いていて心地よいサウンドです。囁くような『ジョン・ウェットン』のヴォーカルもフィットしていると思います。中間のパートで壮大になり、『エレクトリック・ピアノ』が切れがある華麗なプレイが素晴らしいです。後半の『ベース・プレイ』もクールでカッコ良く仕上がっています。
3. The Only Thing She Needs
リズム・テクスチャーがカッコよいロック的な楽曲。
楽曲については、下側のリンク『鮮やかでモダンなライブ・アルバム『Live In Boston』 / U.K.』を参照して頂きたいと思います。
『Danger Money』では
『ライブ・イン・ボストン』では空間を生かした鮮やかなサウンドでしたが、『テリー・ボジオ』がドラムを叩いている為、『ハード・ロック的なサウンド』に変化しています。完全に生まれ変わった楽曲であるように感じます。特に後半の壮絶な『エレクトリック・バイオリン』と『ハモンド・オルガン』と『ドラム』の『インタープレイ』は凄い破壊力で圧倒されます。
4. Caesar's Palace Blues
カントリー・ミュージック的な要素を感じさせるロック・ソング。
楽曲については、下側のリンク『鮮やかでモダンなライブ・アルバム『Live In Boston』 / U.K.』を参照して頂きたいと思います。
『Danger Money』では
この楽曲も『ハード・ロック的なアレンジ』に変化しています。全編で『エディ―・ジョブソン』の『エレクトリック・バイオリン』が散りばめられていてテクニック凄みが感じられます。『デンジャー・マネー』バージョンの方が、『リズム・テクスチャー』が安定しているのでしっくりきていて聴きやすいと思います。
5. Nothing to Lose
シャッフルなグルーブ感が印象的なロック・ソング。
シャッフルなリズムが印象的で、メロディーも味わいがあり聴き心地もよいと思います。『U.K.』にはこういった楽曲が少ないのでよいと思います。こういったサウンドから『エイジア』のメロディーやサウンドに継承されたのではと思いました。
6. Carrying No Cross
悲しげで壮大なバラード・ソング。
楽曲については、下側のリンク『鮮やかでモダンなライブ・アルバム『Live In Boston』 / U.K.』を参照して頂きたいと思います。
『Danger Money』では
『テリー・ボジオ』がドラムを叩いている為、後半の『インストゥールメンタル・パート』では、『エマーソン・レイク・アンド・パーマー』または『リターン・トゥ・フォーエヴァー』のように響きます。凄みのある演奏を行っていて聴きごたえがあります。
参照記事はこちらになります。
『鮮やかでモダンなライブ・アルバム『Live In Boston』 / U.K.』
今回、1979年に発売された『U.K.』のセカンド・アルバム『Danger Money』をご案内させて頂きました。
機会がありましたら、楽しんでみて下さい。