こんにちは、teruruです。
今回は、1991年に発売されたLevel 42のアルバム『Guaranteed』をご案内させて頂きます。デジタル的で少しファンキーな楽曲とエモーショナルな楽曲がバランスよく配置されている、かなり秀作なアルバムです。
それでいてメロディーがとてもブリティッシュ風ですので、リッチでおしゃれにも感じるサウンドを表現しています。初めて聴く人だったとしたら、たぶん「クールで中々じゃない!」と思うかもしれませんね。
メンバーは、中音域の厚みのあるヴォイスとスラッピング・ベースの達人の『マーク・キング』、ハイポジションのコーラスと素敵な音色と独自のリズムのキーボードでサポートする『マイク・リンダップ』、アラン・ホールズワースやゲイリー・ムーア等でタイトなドラムを叩いていた『ゲイリー・ハズバンド』になります。
今回は、前作『スターリング・アット・ザ・サン』のアラン・マーフィーに変わり、前回に引き続きスティングの片腕の『ドミニック・ミラー』数曲リード・ギター、ギター・ソロで『アラン・ホールズワース』が参加しています。このアルバムでのアラン・ホールズワースのソロはどれもエモーショナルで素晴らしい出来です。
アラン・ホールズワースは、ジャズ・フュージョン系のギター・リストで、1978年のプログレッシブ・ロック・バンドの『U.K.』のファースト・アルバムで有名になったアーティストです。その後はソロ活動がメインで活動していました。独自の音楽理論を持っていて、ミュージシャンにも理解できないような複雑なコードやスケールを多用するプレイヤーとして有名で、ミュージシャンの為のミュージシャン的なプレイヤーです。
ハイセンスでエモーショナルなブリティッシュ・ロックのポイント
- メロディー・ラインが以前ほどファンキーではない
- マイク・リンダップのキーボード・センス
- アラン・ホールズワースのレコーディング参加
メロディーラインが以前ほどファンキーではない
オリジナルLevel 42の頃の楽曲はファンキーな楽曲に合わせて、ファンキーなメロディーをつけていましたが、前作または前々作辺りから、ファンキーな楽曲にブリティッシュ的なメロディーを乗せている感じがします。
もしLevel 42の楽曲にアース・ウィンド・アンド・ファイヤーがメロディーをつけたとしたら、凄くアメリカ的にファンキーに聴こえると思います。ブリティッシュ的な品のよいリッチな感じを出しているような感じがします。
特にマーク・キングは、ハードなスラッピング・ベースを弾いているにも関わらず、普通にメロディアスによく歌いこなせると驚きます。
マイク・リンダップのキーボード・センス
今回のアルバムは、特にマイク・リンダップのキーボードの独特のリズムと音色が素晴らしいです。ハービー・ハンコックばりのクラビネット的なリズムやプリンス的なムーグ・シンセサイザーのプレイや音色、さらにドミニック・ミラーのギター・カッティング・サウンドや実際のホーン・セクションと相まって、まさにハイセンスのものになっています。
こういったことを得意とするキーボード・プレイヤーとしては、TM Networkの小室哲哉は似たようなプレイヤーだと思っています。小室哲哉の凄いところは1曲ごとに全く違う音色で楽曲をプレイするところですね。
マイク・リンダップはもっと評価されてもよいと思っています。
アラン・ホールズワースのレコーディング参加
アラン・ホールズワースは5曲参加しています。4曲はエモーショナルな楽曲と『イフ・ユー・アー・マイン』のみファンキー的なロック・サウンドの楽曲になります。
基本的にギター・ソロは、ヴォーカルラインのイメージに合うようにプレイする訳ですが、ヴォーカルラインを更に感動させるようなソロを披露しています。クリーンに伸びるディストーション・サウンドにディレイをかけたアーミング・プレイが印象的です。
また『イフ・ユー・アー・マイン』では、アラン・ホールズワースらしい、どこからきたかわからないようなスケール・プレイが炸裂しているので楽しめます。ゲイリー・ハズバンドのドラムとのインタープレイも白熱していてよいと思います。
Albumlist |
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1. Guaranteed |
2. Overtime |
3. Her Big Day |
4. Seven Years |
5. Set Me Up |
6. The Ape |
7. My Father’s Shoes |
8. A Kinder Eye |
9. She Can’t Help Herself |
10. If You Were Mine |
11. Lasso the Moon |
12. With a Little Love |
Players |
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Mark King – vocal, Bass |
Mike Lindup – Keyboards, vocal, Background Vocal |
Gary Husband – Drum, Keyboard |
Wally Badarou – Keyboards, Background Vocal |
Allan Holdsworth – Electric Guitar(4, 8, 9, 10, 12) |
Dominic Miller – Guitar |
Annie McCaig – Background Vocal |
Gary Barnacle – Sax |
John Thirkell – trumpet |
楽曲解説
1. Guaranteed
ミディアム・テンポで疾走感のある楽曲。
コーラス・ハーモニーが心地よく、オープニングとしてよい曲だと思います。マイク・リンダップが途中に歌うパートとキラキラした音色のキーボードでのアルペジオのアレンジもよいと思いました。
2. Overtime
メカニカルなファンキー・サウンドでクールなメロディーの楽曲。
複数のハーモニーやポリリズムが細かく盛り込まれています。クールなメロディーがよく響いていてカッコいいと思います。都会的なイメージにも感じられます。
3. Her Big Day
メカニカルなファンキー・サウンドにホーンセクションのアクセントが印象的な楽曲。
マイク・リンダップのキーボードでのクラビネット的なサウンド、プリンス的なムーグ・シンセサイザーの『プレイ』『音色』、またホーンセクションもシンセ・ブラスのように聞こえますので、かなりハイセンスな作りになっていると思います。特にハービー・ハンコックのようなキーボード・ソロもおしゃれな感じがします。
4. Seven Years
エモーショナルで感動的なバラード。
流れるようなメロディーと分厚いコーラスがが魅力的なです。メロディーの流れに沿うようにアラン・ホールズワースがギター・ソロを奏でていて感動的な演奏をしています。
5. Set Me Up
タイトなファンキー・サウンドな楽曲。
中間部ではホーン・セクションやコーラス・アンサンブル等を導入してインパクトのあるアレンジに仕上げています。
6. The Ape
ジャングル・ビートでジャム的な楽曲。
ベースでジャングル・ビート的なグルーブ感を出している。ヴォーカル部分はほぼバックアップ・ヴォーカル的な役割になっていて、ソプラノ・サックスが自由にプレイできるような楽曲になっています。
7. My Father's Shoes
ボサノバ風の軽快なポップソング。
ドミニック・ミラーのギターがベーシックになっている楽曲。心地よいグルーブ感にご機嫌で可愛らしいメロディーが乗っていてよいと思います。
8. A Kinder Eye
ミディアム・テンポで悲しげなバラード。
バラードであるがハイセンスなフィーリングが漂う楽曲。オープニングでストリングス・サウンド、エレクトリック・ピアノの入り方は感動的だと思います。厚みのあるヴォーカル・ラインやコーラスとの掛け合い等もかなり綿密に仕上げられています。アラン・ホールズワースのギター・ソロは最高に感動的です。筆者の一番お薦め曲です。
9. She Can't Help Herself
エモーショナルでメロディアスなバラード。
メロディーだけでもかなり完成度が高い楽曲です。アラン・ホールズワースの曲全体のリード・ギター・アプローチも素晴らしいです。曲の最後辺りのヴォーカルとコーラスの掛け合いもとてもよいと思います。
10. If You Were Mine
ファンキー・ロック的なダイナミックな楽曲。
空間が開かれたようなファンキーソング。スキャット的なコーラスも盛り込まれていてとても印象的に響きます。アラン・ホールズワースとゲイリー・ハズバンドの爽快なインタープレイが聴きものです。
11. Lasso the Moon
ミディアム・テンポでクールなメロディーが印象的な楽曲。
スムーズにファルセット気味に歌われるメロディーがとてもクールです。アルト・サックスのソロも素敵です。
12. With a Little Love
クールなミディアム・テンポの楽曲。
クールなメロディーとそれをサポートするソプラノ・サックスが印象的です。ソプラノ・サックスは自由にプレイしています。
関連記事はこちらになります。
『心地よいハイセンスなロック・アルバム『Staring At The Sun』 / Level 42』
アラン・ホールズワース関連記事はこちらになります。
『鮮やかでモダンなライブ・アルバム『Live In Boston』 / U.K.』
今回は、Level 42のアルバム『Guaranteed』をご案内させて頂きました。
聴いていて心地よいサウンドのアルバムですので是非ご試聴頂きたいと思います。