こんにちは、teruruです。
今回は、2013年に発売された『Ritchie Blackmore’s Rainbow』のライブCD・DVD『Black Masquerade』をご案内させて頂きます。CDもDVDもどちらも同じ商品になりますので、DVDの方が映像がついているのでお得にはなります。
『ブラック・マスカレード』は1995年に発売された『リッチー・ブラックモアズ・レインボー』のアルバム『ストレンジャー・イン・アス・オール』のツアーにて『デュッセルドルフ』でのライブをコンプリート収録されたものになります。元々ドイツの音楽番組『ロックパラスト』の放送用に収録されたものになります。以前からブート・レッグで出回っていたライブ映像になります。
『ブラック・マスカレード』 では、 『ストレンジャー・イン・アス・オール』 からの新曲も多数収録されていますが、かつての『レインボーの楽曲』『ディープ・パープルの楽曲』をバランスよく配置されていて、『リッチー・ブラックモアの音楽史』を楽しむことができます。オフィシャル化されて、楽器の音の分離は良くなりましたが、ベースの音はかなり削られてしまっていると思います。
演奏もテンポのスムーズにスリリングに展開されていて、初めて『 リッチー・ブラックモア』の音楽 を触れる人でも問題なく楽しめる内容だと思います。ここでの『リッチー・ブラックモア』は、以前のような感情が高まる熱いギター・プレイというよいも、よりスタイリッシュに進化したプレイをしています。1993年まで在籍していた『ディープ・パープル』でのプレイを挽回するかのようなプレイを行っています。
スリリングな集大成ライブのポイント
- ドゥギー・ホワイトの歌唱力
- チャック・バーギのライブ参加
- 硬派なレインボーの音楽性に回帰
ドゥギー・ホワイトの歌唱力
『ドゥギー・ホワイト』の『歌唱力』と『対応力』は特に素晴らしいと思います。声の質的には、『アイアン・メイデン』の『ブルース・ディッキンソン』に近いのではないかと思います。 『ブルース・ディッキンソン』 よりも厚みがあり、声の高音のレンジも高いと思っています。
即興でメロディーを作り、歌詞を付けられる類まれな才能を持っているようです。ライブの楽曲『ホール・オブ・ザ・マウンテン・キング』の演奏前に『グリーン・スリーブス』を歌唱しますが、あまりセンスよい歌詞ではないと思いますが、即興で歌詞をつけて歌唱しているところも素晴らしいと思います。
『かつてのレインボーの楽曲』『ディープ・パープルの楽曲』を違和感なく、素晴らしく歌唱しているところは素晴らしいと思います。『パーフェクト・ストレンジャーズ』のような『イアン・ギラン』ではないと歌いにくそうな楽曲もスムーズに歌いこなしています。
『ドゥギー・ホワイト』 のハイライトとしては『 ホール・オブ・ザ・マウンテン・キング 』だと思います。最初はミドル音域でクールに歌いながら、要所や楽曲の後半に『イアン・ギラン』のような『スクリーミング・ヴォイス』を披露しています。普通にシンガーでは出来ないことだと思います。
チャック・バーギのライブ参加
ドラムに1983年~1984年に『レインボー』にドラムで参加していた『チャック・バーギ』がライブに参加しています。
経緯としては 『ストレンジャー・イン・アス・オール』 のレコーディングに参加していたドラマーの『ジョン・オライリー』がバンドのメンバーとサッカーをしていた際に、骨折してしまったためにバンドを去り、ライブ・メンバーの代役として 『チャック・バーギ 』が選抜されました。
『チャック・バーギ』のプレイは派手ではないが『素晴らしいグルーブ感』『物凄く速いテンポでプレイできるドラマー』で、『リッチー・ブラックモア』のお気に入りのプレイヤーとされています。『イアン・ペイス』並みのスイング力を持っていると評価されているようです。
『チャック・バーギ』が参加している1984年の『レインボー』のライブCD・DVD『ライブ・イン・ジャパン1984』に近いような『グルーブ感』と『スピード感』でプレイされています。
『チャック・バーギ』 のドラムの参加が、ライブをスリリングにさせている要因であると思っています。
硬派なロック・サウンドのレインボーの音楽性に回帰
『ジョー・リン・ターナー』の頃のような『ポップ趣向』の音楽ではなく、『ロニー・ジェイムス・ディオ』の頃ほど『パワフルなハード・ロック趣向』ではないが 『ストレンジャー・イン・アス・オール』 では『 硬派な ロック・サウンド』の レインボーの音楽性に回帰しています。
レインボーのアルバム『ライジング』では『独自の様式』と『パワフルなパフォーマンス』が魅力でしたが『ストレンジャー・イン・アス・オール』はパワー感を抑制して『独自のダークな様式』や『音楽の深い感情を掘り下げた』アルバムだと思っています。
『ストレンジャー・イン・アス・オール』 の収録曲の『ハンティング・ヒューマンズ』や『エリエール』では、『独自のダークな様式』が表現されていると思っています。
これらの楽曲をライブで配置する事で『ライジング』 の頃とは違った『ダークでクールなライブ・スタイル』を表現したかったのではないかと思っています。リッチー・ブラックモア自身この音楽性で新しい音楽の試みを行いたかったのかもしれません。
その後『リッチー・ブラックモアズ・レインボー』は解体され『ブラックモアズ・ナイト』に音楽が移行してしまい、1996年のツアー後に『リッチー・ブラックモア』 の『ロック・ミュージック』は封印されてしまうことになります。もしかしたら『当時のロック』には、『 リッチー・ブラックモア』にインスピレーションを与える要素が何もなかったのかもしれません。
Albumlist |
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1. Over The Rainbow |
2. Spotlight Kid |
3. Too Late For Tears |
4. Long Live Rock ‘n’ Roll |
5. Hunting Humans |
6. Wolf To The Moon / Difficult To Cure |
7. Keyboard Solo |
8. Still I’m Sad / Drum Solo |
9. Man On The Silver Mountain |
10. Temple Of The King |
11. Black Masquerade |
12. Ariel |
13. Since You’ve Been Gone |
14. Perfect Strangers |
15. Greensleeves |
16. Hall Of The Mountain King |
17. Burn |
18. Smoke On The Water |
Players |
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Doogie White – Vocal |
Ritchie Blackmore – Electric Guitar |
Paul Morris – Keyboard |
Greg Smith – Electric Bass |
Chuck Burgi – Drum |
Candice Night – Backing Vocal |
楽曲解説
1. Over The Rainbow
リッチー・ブラックモアズ・レインボーのオープニングでは、必ず『オズの魔法使い』のオーバー・ザ・レインボーの音楽が流されています。
2. Spotlight Kid
オリジナルは、レインボーのアルバム『ディフィカルト・トゥ・ケア』の収録曲。
楽曲については、下側のリンク『バラエティに富んだコンピレーション・ライブ・アルバム『Finyl Vinyl』/ Rainbow』を参照して頂きたいと思います。
『Black Masquerade』では
録音ミスで『オーバー・ザ・レインボー』の音源が流れたまま収録がされています。少し不気味に感じるかもしれません。演奏は物凄い早さでスムーズに素晴らしいプレイが展開されています。
3. Too Late For Tears
オリジナルは、リッチー・ブラックモアズ・レインボーのアルバム『ストレンジャー・イン・アス・オール』の収録曲。
ミディアム・テンポのストレートなロック・ソング。
コーラス部分で、『キャント・ハプン・ヒア』のギター・リフが引用されています。タイトでストレートなロックンロールナンバー。
『Black Masquerade』では
オリジナルとアレンジは同様ですが、ストレートでスムーズで爽快な演奏が展開されています。
4. Long Live Rock 'n' Roll
オリジナルは、レインボーのアルバム『ロング・リヴ・ロックンロール』の収録曲。
楽曲については、下側のリンク『バラエティに富んだコンピレーション・ライブ・アルバム『Finyl Vinyl』/ Rainbow』を参照して頂きたいと思います。
『Black Masquerade』では
『チャック・バーギ』が叩いている為なのか、かなり速いテンポのスイング感のあるグルーブ感の演奏でまとまっています。かなりよい演奏ではないかと思っています。中間では『ブラック・ナイト』のリフを使用していて楽しめると思います。
5. Hunting Humans
オリジナルは、リッチー・ブラックモアズ・レインボーのアルバム『ストレンジャー・イン・アス・オール』の収録曲。
4ビートでダークで感動的な楽曲。
『ストレンジャー・イン・アス・オール』辺りからの新感覚なアプローチの楽曲。奥行きがある楽曲だと思います。
『Black Masquerade』では
オリジナルとアレンジは同様ですが、『ギター・ソロ』は感動的に流れるソロを披露しています。
6. Wolf To The Moon / Difficult To Cure
『Wolf To The Moon』は、リッチー・ブラックモアズ・レインボーのアルバム『ストレンジャー・イン・アス・オール』の収録曲。
流れるようなギター・リフがスムーズな心地よいロック・ソング。
オリジナルでは、インパクトあるギターリフの流れに乗って、スムーズな楽曲が展開されています。中間のクラシカルなキメのフレーズもカッコよいと思います。
『Difficult To Cure』については、下側のリンク『バラエティに富んだコンピレーション・ライブ・アルバム『Finyl Vinyl』/ Rainbow』を参照して頂きたいと思います。
『Black Masquerade』では
2つの曲を組曲のようにアレンジしてプレイされています。『ウルフ・トゥ・ザ・ムーン』は中間の『クラシカルなフレーズ』まで演奏され『ディフィカルト・トゥ・ケア』に接続しています。かなりスリリングで爽快な演奏になっています。
7. Keyboard Solo
ベートー・ベンの『ムーンライト』のパート3をベースにして展開されていきます。後半にはエスニックなサウンドの楽曲でプレイしていますが、全体的に『キーボード・ソロ』の構成的にしっくりいかないかもしれませんね。
8. Still I'm Sad / Drum Solo
オリジナルは、レインボーのアルバム『リッチー・ブラックモアズ・レインボー』の収録曲。
楽曲については、下側のリンク『情熱が溢れ出る炎のライブアルバム『Live In Germany 1976』 / Rainbow』を参照して頂きたいと思います。
『Black Masquerade』では
『スティル・アイム・サッド』は『ギター・ソロ』まで演奏され、『チャック・バーギ』の『ドラム・ソロ』が展開されます。あまり面白味はないかもしれませんが、素晴らしいグルーブ感のあるドラム・ソロを披露しています。『ストレンジャー・イン・アス・オール』よりもキーを下げて歌唱しているがフィーリングは全く損なわれていないことも素晴らしいです。
9. Man On The Silver Mountain
オリジナルは、レインボーのアルバム『リッチー・ブラックモアズ・レインボー』の収録曲。
楽曲については、下側のリンク『情熱が溢れ出る炎のライブアルバム『Live In Germany 1976』 / Rainbow』を参照して頂きたいと思います。
『Black Masquerade』では
キレのよい、素晴らしい演奏をしています。『ドゥギー・ホワイト』の切れのある歌唱も素晴らしいと思います。オリジナルキーで違和感なく歌唱できていることが凄いと思います。
10. Temple Of The King
オリジナルは、レインボーのアルバム『リッチー・ブラックモアズ・レインボー』の収録曲。
物語のようなフォーク・ソング的な楽曲。
オリジナルでは、独特の味わいがある『フォーク・ソング的』な楽曲に仕上がっています。
『Black Masquerade』では
ヴォーカル・ラインをルパートに歌うようにアレンジして演奏していて、感動的に仕上がっていると思います。
11. Black Masquerade
オリジナルは、リッチー・ブラックモアズ・レインボーのアルバム『ストレンジャー・イン・アス・オール』の収録曲。
ソリッドのギター・リフが印象的で、独自の様式美が心地よいロック・ソング。
『ストレンジャー・イン・アス・オール』ではハイライト的な楽曲。ソリッドなギターと包み込む独特なメロディーがカッコよいと思います。オリジナルでは、『アコースティック・ギター・ソロ』と『チェンバロのようなキーボード・ソロ』が印象的でした。
『Black Masquerade』では
オリジナルでは、ヴォーカル・パートはアンサンブルがほとんどでしたが、要所で切れのある鋭いヴォーカルを披露しています。『リッチー・ブラックモア』も自由に『リード・ギター』をプレイしていて楽曲がよくなっています。『アウトロー』の『ギター・ソロ』はスリリングで白熱しています。
12. Ariel
オリジナルは、リッチー・ブラックモアズ・レインボーのアルバム『ストレンジャー・イン・アス・オール』の収録曲。
ヘヴィーなパートとダークなフォーク・ミュージック的なパートが絶妙な楽曲。
『ストレンジャー・イン・アス・オール』では新感覚的な楽曲。『ヘヴィーなギター・リフ』と『ダークなフォーク・ミュージック的なパート』のバランスが絶妙で心地よいです。楽曲が進むにつれて感動的な展開になっています。
『Black Masquerade』では
全体的にオリジナルよりも、ダイナミックにパワフルに演奏されています。最終パートでコーラスが入ってくる辺りから最後までの演奏は感動的です。このライブの楽曲で一番歌唱が難しい楽曲ではないかと思います。
13. Since You've Been Gone
オリジナルは、レインボーのアルバム『ダウン・トゥ・アース』の収録曲。
楽曲については、下側のリンク『バラエティに富んだコンピレーション・ライブ・アルバム『Finyl Vinyl』/ Rainbow』を参照して頂きたいと思います。
『Black Masquerade』では
オリジナルと比べるとあっさりとした感じでプレイされています。『Finyl Vinyl』のバージョンと同じですが、キーを落して演奏しています。
14. Perfect Strangers
オリジナルは、ディープ・パープルのアルバム『パーフェクト・ストレンジャーズ』の収録曲。
ダークなパワーコードと独特な説得力あるメロディーが印象的な楽曲。
ミディアム・テンポで、ダークなパワーコードで進んでいく楽曲。独特なヴォーカル・ラインが印象的で、『イアン・ギラン』のセンスが表現されている『ヴォーカル・メロディー』だと思います。
『Black Masquerade』では
『ドゥギー・ホワイト』のキレのあるヴォーカルで素晴らしい仕上がりになっています。要所で『スクリーミング・ヴォイス』を盛り込んでいてよいと思います。
15. Greensleeves
『トラディショナル・ソング』の『グリーンスリーブス』がルパートに披露されています。『ドゥギー・ホワイト』は素晴らしい歌唱をしています。『ホール・オブ・ザ・マウンテン・キング』の前奏曲のようにも感じます。
16. Hall Of The Mountain King
オリジナルは、リッチー・ブラックモアズ・レインボーのアルバム『ストレンジャー・イン・アス・オール』の収録曲。
エドワード・グリーグの『ホール・オブ・ザ・マウンテン・キング』をフレーズをモチーフにロック的に構築した楽曲。
『エドワード・グリーグ』の『ホール・オブ・ザ・マウンテン・キング』の『ループ的なフレーズ』で使用されていますが、ヴォーカル・メロディーはオリジナルでかなりパワフルでよく響いていると思います。終盤でフレーズが速くなり、緊張感を出すアレンジがカッコよいと思います。
『Black Masquerade』では
『ループ的なフレーズ』の緊迫感が曲が進むにつれて緊張感が高まり最高にカッコよいパフォーマンスに仕上がっていると思います。オーディエンスと一体感になれる楽曲だと思います。
17. Burn
オリジナルは、ディープ・パープルのアルバム『バーン』の収録曲。
楽曲については、下側のリンク『置き去られたライブの名盤『Made In Europe』 / Deep Purple』を参照して頂きたいと思います。
『Black Masquerade』では
『デイヴィッド・カヴァーデイル』の癖のあるヴォーカルとは違い、『ドゥギー・ホワイト』は癖のないスムーズなヴォーカルですが素晴らしい歌唱だと思います。『グレン・ヒューズ』のヴォーカル・パートはベースの『グレック・スミス』がスムーズに歌唱されていてよいと思います。
18. Smoke On The Water
オリジナルは、ディープ・パープルのアルバム『マシーン・ヘッド』の収録曲。
楽曲については、下側のリンク『史上最強のRockアルバム『Made In Japan』/ Deep Purple』を参照して頂きたいと思います。
『Black Masquerade』では
ファースト・パートは『ドゥギー・ホワイト』が歌い、セカンド・パートは『グレック・スミス』が歌い、サード・パートでは『ドゥギー・ホワイト』がオリジナリティーを出して歌唱していてよいパフォーマンスだと思います。
参照記事はこちらになります。
『史上最強のRockアルバム『Made In Japan』/ Deep Purple』
『置き去られたライブの名盤『Made In Europe』 / Deep Purple』
『情熱が溢れ出る炎のライブアルバム『Live In Germany 1976』 / Rainbow』
『バラエティに富んだコンピレーション・ライブ・アルバム『Finyl Vinyl』/ Rainbow』
その他リッチー・ブラックモア関連記事はこちらになります。
『Heavy Metalの草分け的な名盤『Rising』 / Rainbow』
今回は、2013年に発売された『Ritchie Blackmore’s Rainbow』のライブCD・DVD『Black Masquerade』をご案内させて頂きました。
機会がありましたら、楽しんでみて下さい。