こんにちはteruruです。
今回は、『Rainbow』のアルバム『Rising』をご案内いたします。
1976年に発売された『レインボー』の『セカンド・アルバム』です。基本的には、『元ディープ・パープルのギターリスト』の『リッチー・ブラックモア』のバンドになります。
前作を発売後に『リッチー・ブラックモア』とヴォーカリストの『ロニー・ジェームス・ディオ』以外は全てのメンバーを解雇し制作に臨んだアルバムになります。その後、メンバー解雇はアルバムが発売される度に顕著になっていきます。
このアルバムは『レインボー』の中で最も『ヘヴィー・メタル』に近いアプローチのサウンドになります。今もし初めて聞いた人でしたらそこまでヘヴィーではないなと思うかもしれません。骨太で男性的な音楽ですが、全体的につかみやすいので楽しめるのではないかなと思います。
当時としては、『ブラック・サバス』等のいくつかのバンドしかヘヴィーなアプローチをしていたバンドはなかったと思われます。またこのアルバムが出た事によって、特に1980年代の『ヘヴィー・メタル・バンド』の在り方に大きな影響を及ぼしたアルバムだと思います。
このアルバムで表現されている音楽、パフォーマンスは理想的な『ヘヴィー・メタル・バンド』の在り方ではないかと思います。
Heavy Metalの草分け的なポイント
- 硬質で良質なRockサウンドで統一
- 独特なファンタジー的な歌詞での表現
- ロニー・ジェイムス・ディオとコージー・パウエルの参加
硬質で良質なRockサウンドで統一
『硬質なロック・サウンド』という意味では、楽曲の性質等もあるかもしれませんが、やはり『コージー・パウエル』の『パワフル過ぎるストレートで破壊的なドラム』にあるのではないかと思います。
例えば、『ディープ・パープル』の『イアン・ペイス』の場合、シャッフルを叩いても『ジャズ・ミュージック的な軽やかなスウィング』になるのに対して、『コージー・パウエル』の場合、『重量感がありすぎるので固いスウィング』になってしまう感じがあります。
『リッチー・ブラックモア』の『ギター・サウンド』は、現代のギター・サウンドのように物凄く中低音域を歪ませているものではないが、それが逆に硬質な部分を強調している感じがします。『現代のギターリスト』は『アンプ』と『エフェクター』等でブーストしていますが、『リッチー・ブラックモア』は『アンプのパワフルな出力』と『ナチュラルなトーン』でプレイしているのでリアルに響く事が要因でもあると思います。
もしこのアルバムを別のギターリストがプレイしていたら全く別のサウンドになっていたかもしれませんね。
独特なファンタジー的な歌詞での表現
このアルバム全体的に『ロニー・ジェームス・ディオ』が得意としている『中世時代のファンタジーな歌詞』で表現している点が魅力であり、音楽にもマッチしているので完成度も上げる要因となっていると思います。
またアメリカでの『ライジング』アルバム・セールスが上手くいかず、『レインボー』は『ポップ・サウンド路線』または『ライトなロック路線』に変更しようとして、『ロニー・ジェームス・ディオ』は『中世時代のファンタジーな歌詞が書けない事』『音楽に納得いかない事』『人間関係の問題』もあり次のアルバムのツアーを最後に脱退することになります。
次のアルバム『ロング・リヴ・ロックンロール』では、『ライジング』の音楽を継承している部分もありますが、『ポップ・サウンド路線』または『ライトなロック路線』に移行している楽曲も、アルバムの収録曲に見受けられますので『ライジング』の音楽性で制作していたら、もっと凄いアルバムが出来ていたのではと思ってしまいます。
ロニー・ジェイムス・ディオとコージー・パウエルの参加
やはり『リッチー・ブラックモア』をリーダーにして、『ロニー・ジェイムス・ディオ』と『コージー・パウエル』が参加している事が大きな意味を持っていると思っています。
『ハード・ロック』と『ヘヴィー・メタル』という分野では、2人はこの後にパイオニア的な人物となります。
身体は小さいが、鬼のように叫び歌唱する『ロニー・ジェイムス・ディオ』。
歌いまわしも独特ですがインプロヴィゼーションの素晴らしく、ライブでも音程を外していることを聞いたことのないほどの超絶ヴォーカルです。『レインボー』以外にも、『ディオ』や『ブラック・サバス』を聴いて頂ければ、ブレないパフォーマンスに納得いかれる事でしょう。後に続く『ロック・ヴォーカリスト』たちは神のように崇めています。
とにかくドラムでパワフルで破壊力があり、2バスドラムを規則的に叩き重戦車のような印象がある『コージー・パウエル』。
彼がこのアルバムの土台を作り上げている事が、迫力を出している大きな要因だと思っています。特に『スターゲイザー』と『ア・ライト・イン・ザ・ブラック』のプレイは鬼気迫るものがあります。『コージー・パウエル』が『ライジング』と近いドラムミングを披露しているアルバムとしては、『イングヴェイ・マルムスティーン』のアルバム『フェイシング・ジ・アニマル』をご試聴頂きたいと思います。かなり破壊的なドラミングを披露しています。
Albumlist |
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1. Tarot Woman |
2. Run With The Wolf |
3. Starstruck |
4. Do You Close Your Eyes |
5. Stargazer |
6. A Light In The Black |
Players |
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Ronnie James Dio – Vocal |
Ritchie Blackmore – Guitar |
Tony Carey – keyboard |
Jimmy Bain – Bass |
Cozy Powell – Drum |
Münchner Philharmoniker – Orchestra (Stargazer) |
楽曲解説
1. Tarot Woman
ミディアム・テンポで切れがよいロックソング。
カッティング・ギター・リフがが印象的な4ビート・ロック・ソング。『トニー・カレイ』の『ムーグ・シンセサイザー』の『イントロ』『アウトロー』はこの曲をイメージをつけるのに最高のソロ・パフォーマンスを披露しています。当時この曲がライブで演奏されなかったのが残念です。ライブ向きで盛り上がる楽曲だと思います。
歌詞
『タロット・カード』の結果になぜそうなるんだ、どうしたらよいんだと女性に救いを求めている内容です。
2. Run with the Wolf
硬質でシャッフルな部分と4ビート対比が抜群なロック・ソング。
味わいがあるパワフルなメロディーが印象的です。タイトに楽曲が引き締まっていてよいと思います。『リッチー・ブラックモア』のたたみ込むような『アウトロー』の『ギター・ソロ』もよいと思います。
歌詞
神の啓示があったら狼とともに走れというような内容です。
3. Starstruck
シャッフルしていてノリのよいロックン・ロール・ソング。
本来でしたら軽快なロック・ソングですが、このメンバーでレコーディングを行うとガチガチの硬質なロックンロール・サウンドになっています。印象がしっかり残る楽曲です。
歌詞
有名人がファンに追い回されている様子を語っている内容です。
4. Do You Close Your Eyes
シンプルなロックンロール・ソング。
ライブでラスト・ナンバーで使用されていました。かなりシンプルなロック・ナンバーですので、もしかしたら『ライブのラスト・ナンバー』としてこういったシンプルな楽曲が必要だったので制作されたのかもしれません。
歌詞
女性に対して愛を語っている内容です。
5. Stargazer
約8分ほどの大作ヘヴィー・ロック。
オープニングの『コージー・パウエル』の『ドラム・ソロ』が強力なインパクトがあります。『ミドル・テンポで重々しいギター・リフ』と『ミューヘン・フィルハーモニックのストリングス』でアラビアのような雰囲気を作り出しています。『ロニー・ジェイムス・ディオ』が物語のストーリーテラーのように歌い上げていて最高にムードを高めています。『ギター・ソロ』では『フィリジアン・スケール』と『スライド・バー』を使用して『アラビアのようなフィーリング』を更に深く表現しているように感じます。
歌詞
中世での石塔を建てている奴隷から観点での物語。石の塔から飛ぶことが出来る信じる魔術師との内容です。
6. A Light in the Black
約8分ほどのスピード感あふれるストレートなヘヴィー・メタル的な楽曲。
『コージー・パウエル』の『ツー・バス・ドラム』が重戦車のようなイメージで迫力満点です。中間の『キーボード・ソロ』もスリリングでカッコよいです。『エレクトリック・ギター』と『キーボード』の『クラシカルなフレーズのハーモニー・プレイ』も見事です。正式なライブ音源が残っていない事が残念です。
歌詞
『スターゲイザー』の物語の続きで魔術師の死後の目的を失った人々の話です。
その他リッチー・ブラックモア関連記事はこちらになります。
『史上最強のRockアルバム『Made In Japan』/ Deep Purple』
『置き去られたライブの名盤『Made In Europe』 / Deep Purple』
『情熱が溢れ出る炎のライブアルバム『Live In Germany 1976』 / Rainbow』
『バラエティに富んだコンピレーション・ライブ・アルバム『Finyl Vinyl』/ Rainbow』
『スリリングな集大成ライブ『Black Masquerade』 / Ritchie Blackmore’s Rainbow』
『素晴らしいロックの思い出『Memories In Rock II』 / Ritchie Blackmore’s Rainbow』
このアルバムは硬派な独自の様式がある音楽だと思います。カッコいいサウンドを聴きたい、凄みがあるロック・サウンドを聴きたい人にはとてもよいのではないかと思います。
現代では、こういった音楽はほぼクリエイトされていないタイプの音楽だと思います。もしかしたらヨーロッパ方面にそういったバンドがあるかもしれませんが興味がありましたら一度ご試聴ください。