こんにちはteruruです。
今回は『Rainbow』の1990年に発売された『Live In Germany 1976』をご案内致します。『レインボー』のアルバム『ライジング』と同様のメンバーでのライブ・アルバムになります。
おそらくレインボー・ファンの方にしたら、何でこのアルバムを案内するのと思われるかもしれません。本来でしたら同じく1976年に録音されて当時発売されていた『レインボー』のライブ・アルバム『オン・ステージ』がベストだろうと言われるかもしれませんが、筆者としては『ライブ・イン・ジャーマニー1976』をご案内することに決断しました。
このアルバムの特徴として『ジャーマン・ツアー4Days』からのベストテイクを選んで繋ぎ合わせているライブアルバムになります。筆者自身『ジャーマン・ツアー3Days』のCDを試聴し聴き比べて、ベストテイクであろうと思っています。理想の楽曲像がこうあってほしいと思えるテイクが揃っています。
完璧なミックス・バランスの『オン・ステージ』と比べると『ライブ・イン・ジャーマニー1976』は楽器の音量バランスが、ヴォーカルとギターの音量が大きく、その他のパート音量は小さくなっています。特にドラムの音はかなり削られています。両方聴き比べて頂くとわかると思います。
とはいえ、全てのパート音は確実に聴こえていて、ベスト・テイクである為にこのアルバムをよく選んでしまいます。この辺りは『オン・ステージ』ファンの方には申し訳ないと思います。
比較
- 『Live In Germany 1976』
- 『On Stage』
- 『Deutschland Tournee 1976(Box Set)』
それぞれお伝えさせて頂きます。
Live In Germany 1976
このライブアルバムは前文でもご説明しました通り『リッチー・ブラックモア』と『ロニー・ジェームス・ディオ』がメインで聴こえるにミックスになっています。ドイツの『ケルン(1976/11/25)』『デュッセルドルフ(1976/11/27)』『ニュルンベルグ(1976/11/28)』『ミュンヘン(1976/11/29)』でのベスト・テイクが納められています。
『ミュンヘン』のテイクが多く入っているのがポイントになります。オフィシャル音源では、『ミュンヘン』でのフルライブが発売されていないのでとても貴重です。『ディープ・パープル』でしたら『メイド・イン・ジャパン』(1998年盤)のような感じですね!
もう一つポイントとしては『スターゲイザー』の『ライブ・バージョン』が聴けることです。この曲はバンドのイメージを表しているような楽曲ですので存在感があり重要だと思っています。
On Stage
『オン・ステージ』はリアルタイムで発売されたライブ・アルバムになります。『サウンド・エンジニア』『サウンド・ミックス』『マスタリング』どれもが最高レベルです。さすが『ディープ・パープル』の『メイド・イン・ジャパン』を『プロデュース』した『マーティン・バーチ』だと思います。
ただこのアルバムは、『編集に編集を重ねて生まれたライブ・アルバム』になります。基本的には、日本でのライブ・テイクがメインになりますが、1つの曲の中で日本のライブ・テイクにドイツでのライブの部分を張り付けて修正したり等、そういったことを行って完成されたものになります。
ただこの制作方法が悪いとは筆者自身は思っていません。そういった素材を張り合わせてここまで完璧なアルバムを作ってしまうこと自体凄いと思っています。
ベスト・テイクであるか、どうかはそれぞれリスナーの感じ方によりますので聴き比べて頂きたいと思います。
Deutschland Tournee 1976(Box Set)
2006年に発売された『CD6枚組BoxSet』になります。ドイツの『ケルン(1976/11/25)』『デュッセルドルフ(1976/11/27)』『ニュルンベルグ(1976/11/28)』のテイクが『一日CD2枚分ずつ』納められています。現在は1Dayずつバラバラに発売されているものも存在します。
日によっては、録音状態がよかったり、よくなかったりします。シンバルの音がぐちゃぐちゃになっていたりとかもあったりします。ただ『ライブ・イン・ジャーマニー1976』よりもクリアに聴こえていたりもしますので、必ずしも悪いものではありません。
むしろ発売してくれたレコード会社には感謝です。ファンにしたら夢のような商品です。筆者がお薦めするとしたら、『ケルン(1976/11/25)』のテイクが綺麗に聴こえて演奏もよいと思います。
結果として
楽器の音量バランスの部分もあるが、ベスト・テイクで聴きたいなら『Live In Germany 1976』
最高の音質でライブを楽しみたいなら『On Stage』
コンプリート版のライブを聴きたいなら『Deutschland Tournee 1976(Box Set)』
筆者は『ライブ・イン・ジャーマニー1976』をお勧めします。またYouTube等で音源を確認できますのでお試し頂きたいと思います。
その他の音源はこちらになります。
Rainbow / Live In Cologne 1976
Rainbow / Live In Düsseldorf 1976
Rainbow / Live In Nürnburg 1976
Albumlist |
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Disc 1 |
1. Kill The King (Munich 29 September 1976) |
2. Mistreated (Munich 29 September 1976) |
3. Sixteenth Century Greensleeves (Cologne 25 September 1976) |
4. Catch The Rainbow (Düsseldorf 27 September 1976) |
Disc 2 |
1. Man On The Silver Mountain (Nuremberg 28 September 1976) |
2. Stargazer (Cologne 25 September 1976) |
3. Still I’m Sad (Cologne 25 September 1976) |
4. Do You Close Your Eyes (Munich 29 September 1976) |
players |
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Ronnie James Dio – Vocal |
Ritchie Blackmore – Guitar |
Tony Carey – keyboard |
Jimmy Bain – Bass |
Cozy Powell – Drum |
楽曲解説
1. Kill The King
オリジナルは、レインボーのアルバム『ロング・リブ・ロックンロール』の収録曲。
スピード感があり、いたるところにクラシカルな要素が散りばめられている爽快な楽曲。
オリジナル・アルバムでは、『ボブ・デイズリー』の『ベース』である為、少しシンコーぺーションを付けた跳ねたバージョンになっています。『ヘヴィー・メタル』の『プロト・タイプ的』楽曲です。
『Live In Germany 1976』では
オリジナルほどはサウンド分厚くはないが、シンプルにパワフルに響くようなアレンジに仕上げられている。『鋭くダイナミックなヴォーカル』。『ギター・ソロの展開』や『クラシカルなフレーズのユニゾン・プレイ』は素晴らしいです。『コージー・パウエル』の重戦車のようなドラムも凄いです。
2. Mistreated
オリジナルは、ディープ・パープルのアルバム『バーン』の収録曲。
哀愁漂うブルース的な楽曲。
フリーの『ハートブレーカー』を基に作曲されたようです。ブルース的な楽曲でありながら、かなり複雑な展開で構成されています。『ディープ・パープル』では『デイヴィッド・カヴァーデイル』が哀愁漂う『ブルース風』に歌唱していました。『アウトロー』の『ギター・ソロ』は『ヴォーカル・ハーモニー』が入ってきて感動的に盛り上げています。
『Live In Germany 1976』では
『ロニー・ジェームス・ディオ』が歌う事により、『ブルース的ではなく強力なパワー・バラード』になっている。なおかつ『コージー・パウエル』のドラムが加わり更に強化されている。特に中間の『ギターとドラムのインター・プレイ』も素晴らしい。『中間のギターの音遊び』も『リッチー・ブラックモア』の凄さを感じます。
3. Sixteenth Century Greensleeves
オリジナルは、レインボーのアルバム『リッチー・ブラックモアズ・レインボー』の収録曲。
ミディアムテンポでパワーリフで展開し、メロディーに味わいのある楽曲。
4ビートのパワフルなリフが印象的で、自然に流れるようなメロディーが最高です。オリジナルではシンプルに聞かせています。
『Live In Germany 1976』では
オープニングでは、『リッチー・ブラックモア』が『ギター・ソロ』で『グリーン・スリーブス』を奏でています。前奏曲として合っています。ギター・リフにカッティングを加えてかなり歯切れのよいサウンドにアレンジされいます。構成も変えられており、コーラスの入っている部分も違ったりします、終盤にはマーチングのようなパートも追加し、コーダも感動的に終了しています。筆者が特に好きな楽曲です。
4. Catch The Rainbow
オリジナルは、レインボーのアルバム『リッチー・ブラックモアズ・レインボー』の収録曲。
悲しげな美しいバラード。
『ジミ・ヘンドリックス』のようなクリーンなギターから始まります。オリジナルでは川が流れるような自然なメロディーの展開されていました。
『Live In Germany 1976』では
オリジナルとは異なり、ライブでは、静と動のようなアレンジが追加されています。『ヴォーカル・パート』では美しくメロディーを奏でていて、中間では『ギターとドラムの壮絶なインタープレイ』が展開されます。『エレクトリック・ギター』の『フェイズ・サウンド』も効果的でよいです。
5. Man On The Silver Mountain
オリジナルは、レインボーのアルバム『リッチー・ブラックモアズ・レインボー』の収録曲。
ミディアムテンポでメカニカルなギター・リフに宙に舞う様なメロディーが印象的な楽曲。
オリジナルでは、シンプルに聴かせています。『ギター・ソロ』も味わい深いものに仕上げています。
『Live In Germany 1976』では
オープニングでは、『ディープ・パープル』の『レイジー』のフレーズをプレイしています。『キーボードのクラシカルなアルペジオ』と『エレクトリック・ギターとの対位法的なアレンジ』も新鮮です。『ライブ・イン・ジャーマニー1976』のバージョンはかなりよい出来だと思います。
6. Stargazer
オリジナルは、レインボーのアルバム『ライジング』の収録曲。
楽曲については、下側のリンク『Heavy Metalの草分け的な名盤『Rising』 / Rainbow』を参照して頂きたいと思います。
『Live In Germany 1976』では
オープニングは『トニー・カレイ』の『キーボード・ソロ』から始まります。『スぺージーなシンセサイザー・ソロ』が素晴らしい。オリジナルよりも更に生き生きとした演奏になっています。『アラビア風のギター・ソロのプレイ・コントロール』も凄いです。アルバムにこの曲があるとないとでは、アルバム全体のイメージが変わってきます。
7. Still I'm Sad
オリジナルは、レインボーのアルバム『リッチー・ブラックモアズ・レインボー』の収録曲。
順次進行のメロディが心地よい楽曲。
オリジナルは『ヤードバーズ』の楽曲。『賛美歌のようなイメージでコーラスの重視していた楽曲』でしたが、レインボーではロック的なリズムを加えて、スムーズな順次進行なメロディーのみで聴かせています。『リッチー・ブラックモアズ・レインボー』では『インストゥールメンタル』でプレイされていました。
『Live In Germany 1976』では
かなり白熱するリズム・セクションを盛り込んだりしています。中間では『エレクトリック・ギターとキーボードのインタープレイ』もなかなか素晴らしい。『トニー・カレイ』は『リック・ウェイクマン』と『ジョン・ロード』を合わせたような『キーボード・ソロ』を展開しています。『ドラム・ソロ』では『イゴール・チャイコフスキー』の『1812年』の音声をバックに展開しています。『ライブ・イン・ジャーマニー1976』では演奏されていませんでした。『デュッセルドルフ(1976/11/27)』『ニュルンベルグ(1976/11/28)』では視聴可能です。
8. Do You Close Your Eyes
オリジナルは、レインボーのアルバム『ライジング』の収録曲。
楽曲については、下側のリンク『Heavy Metalの草分け的な名盤『Rising』 / Rainbow』を参照して頂きたいと思います。
『Live In Germany 1976』では
当時のレインボーでは、『ライブ・パフォーマンス』として『ギター破壊』がライブの最後に恒例となっており、そのための楽曲になります。ロックン・ロール的なストレートな楽曲である為に自由にプレイしています。
参照記事はこちらになります。
『Heavy Metalの草分け的な名盤『Rising』 / Rainbow』
その他リッチー・ブラックモア関連記事はこちらになります。
『史上最強のRockアルバム『Made In Japan』/ Deep Purple』
『置き去られたライブの名盤『Made In Europe』 / Deep Purple』
『バラエティに富んだコンピレーション・ライブ・アルバム『Finyl Vinyl』/ Rainbow』
『スリリングな集大成ライブ『Black Masquerade』 / Ritchie Blackmore’s Rainbow』
『素晴らしいロックの思い出『Memories In Rock II』 / Ritchie Blackmore’s Rainbow』
今回『Live In Germany 1976』をご案内させて頂きました。
レインボーは特にライブで凄さを発揮するバンドですので、一度試聴頂くと楽しめるかもしれません。