こんにちは、teruruです。
今回、『Deep Purple』の1976年に発売された『Made In Europe』をご案内致します。いわゆる『ディープ・パープル・マーク・スリー(MKIII)』『第3期のラインナップ』でのライブ・アルバムです。
たった5曲しか入っていませんが、このラインアップの演奏を試聴するための最良のアイテムであると思っています。スタジオ盤よりもどの曲もベストな演奏が収録されています。『ディープ・パープル』の1972年に発売された名盤『メイド・イン・ジャパン』ほどライブの全貌は見えないと思いますがかなり良好なアイテムです。
『メイド・イン・ジャパン』との違いは『イアン・ギラン(ヴォーカル)』と『ロジャー・グローヴァー(ベース)』が脱退して『デイヴィット・カヴァーデイル(ヴォーカル)』と『グレン・ヒューズ(ベース)』が加わり、このラインアナップでの2枚目のアルバム『ストーム・ブリンガー』のツアーのライブアルバムが本作『メイド・イン・ヨーロッパ』になります。
『メイド・イン・ジャパン』の頃と比べると、音楽的に整頓されたような印象があります。そのほか、『デイヴィット・カヴァーデイル』と『グレン・ヒューズ』が加わったことで『ソウル・ミュージック』『ファンキー・ミュージック』の要素がプラスされ新鮮に感じます。今までの『ディープ・パープルの様式美』と『ブラック・ミュージック的な要素』が合わさって不思議なフィーリングが魅力のサウンドを表現しています。
置き去られたライブの名盤のポイント
- 発売以来ほぼ放置されたままのアルバム
- 1975年のツアーのベスト・テイク
- グレン・ヒューズのベース・サウンド
発売以来ほぼ放置されたままのアルバム
発売以来ほぼ全く手がつけられていないアルバムになります。
『音質』『収録曲』『サウンド・ミックス』等の改善がなく、おそらくそのままなのではないかと思います。なお『楽器のミックス・バランスは完璧』です。『プロデューサー』の『マーティン・バーチ』によるところだと思いますが、素晴らしい仕事をしていると思います。
今現在、『ディープ・パープル』のアルバムをこれだけバランスよくミックスできる人はいないと思います。ただ音圧がが低いのでそこが残念な点だと思います。リマスターされましたが、あまり大きな違いがないような感じがします。
1975年のツアーのベスト・テイク
『オーストリア/グラーツ(3 April 1975)』『ドイツ/ザールブリュッケン(5 April 1975)』『フランス/パリ(7 April 1975)』から選ばれたベスト・テイクになります。
ここに収録されている『バーン』は『ザールブリュッケン』の可能性が高いですが、演奏の出来がよいのにも関わらず、このアルバム以外に発売は公式されていません。残念です。
このツアーでは5曲以外『ザ・ジプシー』『スモーク・オン・ザ・ウォーター』『スペース・トラッキン』『ハイウェイ・スター』等が演奏されていました。
ただ筆者的には、たった5曲でも問題ないと思っています。中でも『スモーク・オン・ザ・ウォーター』は毎回よい演奏をしていたと思いますが、フルライブでなくてもよいのではとは思っています。
このラインナップで『ザ・ジプシー』『スペース・トラッキン』『ハイウェイ・スター』はあまり強力なレパートリーにならなかったような感じがしますので、5曲または『スモーク・オン・ザ・ウォーター』入りで発売であってもよかったかなと思っています。
グレン・ヒューズのベース・サウンド
一番残念なことは、グレン・ヒューズはかなり凄腕ベーシストでもあるにも関わらず『メイド・イン・ヨーロッパ』以外のライブアルバムでは、ミックスの際にベースの音が削られてしまっています。『ミストゥリーテッド』のような楽曲の静かな部分でしたら聴こえる可能性はありますが、ノリのよい曲になると輪郭のみが「ぼやっ」とするぐらいしか聴こえません。
お薦めできるライブアルバムが『メイド・イン・ヨーロッパ』しかないということになります。特に『バーン』の場合、しっかりベース・サウンドが聴こえるのと聴こえないのでは、全く印象が変わってくるので『メイド・イン・ヨーロッパ』以外のライブアルバムに関しては残念に思っています。
比較
この時期のライブアルバムです。
『Made In Europe』 |
『Mk III The Final Concerts』 |
『Live In Paris 1975』 |
『Graz 1975』 |
『Mk III The Final Concerts』は『オーストリア/グラーツ(3 April 1975)』『フランス/パリ(7 April 1975)』から選ばれた『ベスト・テイク盤』になります。『Made In Europe』の次にベースが聴こえる感じがします。このアルバムは当時のライブの全貌を知るのに最適化もしれません。
『Live In Paris 1975』は『フランス/パリ(7 April 1975)』の『コンプリート盤』になります。初版の2001年盤は多少ベースの音が聴こえましたが、2012年盤のアルバムですと、ほぼベースの音が削られてしましました。聴いていてつらいライブアルバムです。
『Graz 1975』は『オーストリア/グラーツ(3 April 1975)』のコンプリート盤に近いものになります。『ハイウェイ・スター』が収録されていないので、今後収録されて発売されるかもしれません。ベースの音は『Mk III The Final Concerts』に近い感じかもしれません。『Graz 1975』は『Mk III The Final Concerts』よりもサウンドがクリアでくっきりしていると思います。
補足として『Live In London』という1974年のライブアルバムがありますが『Live In Paris 1975』と同じく2003年盤はベースの音が聴こえましたが、2007年盤のアルバムですとほぼベースの音が削られてしましました。
これはあくまでも筆者自身の視聴した感想になりますので、興味のある方はご自身で確認頂きたいと思います。
音源を試聴したい方はこちらになります。
Deep Purple / Live In Paris 1975
Deep Purple / Graz 1975
Deep Purple / Live In London
Albumlist |
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1. Burn |
2. Mistreated |
3. Lady Double Dealer |
4. You Fool No One |
5. Stormbringer |
Players |
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David Coverdale – Vocal |
Ritchie Blackmore – Guitar |
Jon Lord – Organ、keyboard |
Glenn Hughes – Bass, Vocal |
Ian Paice – drum |
楽曲解説
1. Burn
ディープ・パープルのアルバム『バーン』の収録曲。
オープニングが印象的で、クラシカルなコード進行のパートが印象的な楽曲。
リフも印象的ですが、曲にハスキーヴォイスで歌い上げているメロディーも素晴らしいです。『跳ねるようなベースライン』も入っているのでダイナミックに聴こえます。ディープ・パープルの代表曲の1つです。
『Made In Europe』では
リフのリズムに乗りながら、『カッティング・ギター』を要所で入れているので更にノリが良くなっています。『グレン・ヒューズ』の『ヴォーカル・パート』になると凄いシャウトを披露しています。『ベース・ライン』も凄いファンキーですね!
2. Mistreated
ディープ・パープルのアルバム『バーン』の収録曲。
楽曲については、下側のリンク『情熱が溢れ出る炎のライブアルバム『Live In Germany 1976』 / Rainbow』を参照頂きたいと思います。
『Made In Europe』では
『デイヴィッド・カヴァーデイル』は苦しそうに、または悲しそうに『ブルーズ的』に歌い上げています。中間での『ギターでの音遊び』『ベース・ライン』もかなり自由にプレイしています。後半に『ビー・ビー・キング』の『ロック・ミー・ベイビー』を導入しています。
3. Lady Double Dealer
ディープ・パープルのアルバム『ストーム・ブリンガー』の収録曲。
ノリのよいロック・ソング。
『コーラス・パート』では、『ソウル・ミュージック的なコーラス』を披露しています。『ディープ・パープル』らしいストレートな楽曲だと思います。
『Made In Europe』では
この曲に関してはどのライブでもシンプルにこなしていると思います。パワフルに演奏していてノリが良く心地よい仕上がりだと思います。
4. You Fool No One
ディープ・パープルのアルバム『バーン』の収録曲。
ファンキーなリズムに、ソウル・ミュージック風のメロディーが印象的な楽曲。
ギターは何となく『ジミ・ヘンドリックス』のようにも聴こえます。当時の『ディープ・パープル』としては、新感覚な楽曲かもしれません。
『Made In Europe』では
ギターはオリジナル・リフと併用して、後に『レインボー』で演奏される『スティル・アイム・サッド』のリフやメロディーを使用しています。終盤では『ドラム・ソロ』~『ブルース的なギター・ソロ』で終了している。ライブでパフォーマンスを行う為の楽曲であると思っています。
5. Stormbringer
ディープ・パープルのアルバム『ストーム・ブリンガー』の収録曲。
ミディアム・テンポで攻撃的なリフにアグレッシブでソウル・ミュージック風のメロディーが印象的な楽曲。
『叩き込むようなデイヴィッド・カヴァーデイルのヴォーカル』と『グレン・ヒューズのソウル・ミュージック風のコーラス』がとてもよいと思います。『スライド・バー』を使用した『ギター・ソロ』で独特なフィーリングで感情を引き出していると思います。
『Made In Europe』では
とてもパワフルに演奏されていると思います。『リード・ギター』も『ギター・ソロ』もスタジオ版より良いと思います。『ベース・ライン』もかなりシンコーぺーションをつけていて、弾むようなプレイは素晴らしいです。
参照記事はこちらになります。
『情熱が溢れ出る炎のライブアルバム『Live In Germany 1976』 / Rainbow』
その他リッチー・ブラックモア関連記事はこちらになります。
『史上最強のRockアルバム『Made In Japan』/ Deep Purple』
『Heavy Metalの草分け的な名盤『Rising』 / Rainbow』
『バラエティに富んだコンピレーション・ライブ・アルバム『Finyl Vinyl』/ Rainbow』
『スリリングな集大成ライブ『Black Masquerade』 / Ritchie Blackmore’s Rainbow』
『素晴らしいロックの思い出『Memories In Rock II』 / Ritchie Blackmore’s Rainbow』
今回、Deep Purpleの1976年に発売された『Made In Europe』をご案内させて頂きました。
機会がありましたら、楽しんでみてください。