
こんにちは、teruruです。
今回、2011年に発売された『Yes』のアルバム『Fly From Here』をご案内させて頂きます。
『フライ・フロム・ヒア』は、元々1980年に『イエス』のアルバム『ドラマ』の制作時に『ウィ・キャン・フライ・フロム・ヒア』という楽曲があり、素晴らしい楽曲でありながら、当時正式な『スタジオ・レコーディング』が行われておらず、当時のライブでは演奏されていましたが、2005年に発売された『イエス』の『コンピレーション・ライブ・アルバム』の『ライブ・イヤーズ』に1980年のライブ・テイク盤で初披露となりました。
当時アルバム『ドラマ』のヴォーカルで、現在では超有名『プロデューサー』になっている『トレヴァー・ホーン』と『イエス』の『クリス・スクワイア』が酒を飲んでいる時に、『トレヴァー・ホーン』より『「ウィ・キャン・フライ・フロム・ヒア」をレコーディングしてみないか。』と言われて、『クリス・スクワイア』が『スティーブ・ハウ』と『アラン・ホワイト』に話したところ、2人ともレコーディングに前向きであったため、アルバム制作の流れに進んでいったようです。
このアルバムは、凄く『イエス』らしいサウンドで構築されていて、優しく心地よいフィーリングに満ちたアルバムになっています。もちろん全曲捨て曲なしですので、初めてイエスの音楽に触れる人でも問題なく楽しめるアルバムです。
イエス・ミュージックらしく構築された名盤のポイント
- 『ドラマ』のメンバーで制作されているが、イエス・ミュージックらしく構築されている
- ベノア・デイヴィットの素晴らしい歌声と歌唱
- トレヴァー・ホーンのプロデュース
『ドラマ』のメンバーで制作されているが、イエス・ミュージックらしく構築されている
今回のアルバム『フライ・フロム・ヒア』は、『イエス』のアルバム『ドラマ』のメンバーで制作されています。『ドラマ』のメンバーで制作するとなると全く新しいサウンドで構築されると思っていましたが、実際聴いてみると、『素晴らしくイエスらしいアルバム』になっていることに驚きました。
『ドラマ』は素晴らしいアルバムでしたが、ただ『イエスらしさがあるか』というと、そう思いませんでした。当時は『イエス』も音楽に行き詰っていて、新しいサウンドを構築するんだという意気込みで『ドラマ』が制作されたのだと思いますが、『イエスらしい』『イエスらしい味わい的な部分』は少なかったと思います。
今回の『メイン・ソングライター』が、『トレヴァー・ホーン』と『ジェフ・ダウンズ』でしたので、ここまで『イエス』寄りにサウンドをまとめてくるとは思いませんでした。楽曲『フライ・フロム・ヒア』の拡大構築も見事で、実に『イエス』らしく感動的に仕上げていることに素晴らしいと思いました。
ベノア・デイヴィットの素晴らしい歌声と歌唱
このアルバムのキーマンとしては、『ベノア・デイヴィットの歌声と歌唱』にあると思います。
確かにライブでの『ベノア・デイヴィット』の歌唱を聴く限り、前任の『ジョン・アンダーソン』歌唱力には劣りますが、アルバム『フライ・フロム・ヒア』では、素晴らしい仕事をしていると思います。
あとアルバムのツアー途中に病気が理由で脱退してしまったことは、素晴らしい声の持ち主なので、とても残念だと思いました。
当時の『ブートレッグ』で確認してみると、確かに苦しそうなパフォーマンスをしているようにも見えました。
トレヴァー・ホーンのプロデュース
『トレヴァー・ホーン』と言えば、『イエスのヴォーカル』としてよりも『プロデューサー』として最も有名だと思います。
『トレヴァー・ホーン』の『プロデュース』した『イエス』のアルバム『90125』は、革新的な『ニュー・ウェイブ・ポップ的なエンジニア・サウンド』や『オーケストラの音をサンプリングしたキーボード・サウンドの「オーケストラル・ヒッツ」』でインパクトがありました。また『フランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッド』のアルバム『ウェルカム・トゥ・ザ・プレッシャー・ドーム』の『プロデュース』も素晴らしかったです。
ただ今回の『プロデュース』が、『トレヴァー・ホーン』らしかったかというと『トレヴァー・ホーンの独自さは出ていない』と思いました。『本来新進的なプロデューサー』ですので、もっと違ったサウンドにできたと思います。
おそらく元々『トレヴァー・ホーン』自身が、『イエスのファン』でしたので、自身で『イエスらしいアルバムを制作したかった』のではないかと筆者自身思っています。
素晴らしいアルバムを完成してくれたことに感謝したいと思います。
その他の音源はこちらになります。
Yes / Fly From Here (Full Album)
Yes / Machine Messiah
Yes / Roundabout
Albumlist |
---|
1. Fly From Here – Overture |
2. Fly From Here Pt. I: We Can Fly |
3. Fly From Here Pt. II: Sad Night At The Airfield |
4. Fly From Here Pt. III: Madman At The Screens |
5. Fly From Here Pt. IV: Bumpy Ride |
6. Fly From Here Pt. V: We Can Fly (Reprise) |
7. The Man You Always Wanted Me To Be |
8. Life On A Film Set |
9. Hour Of Need |
10. Solitaire |
11. Into The Storm |
Players |
---|
Benoît David – vocal |
Steve Howe – Electric Guitar, Acoustic Guitar, Pedal Steel, Vachalia, Backing Vocal |
Geoff Downes – Keyboards, Backing Vocal |
Chris Squire – Electric Bass, Backing Vocal, vocal (7) |
Alan White – Drum |
Oliver Wakeman – Keyboards (2, 6, 9) |
Trevor Horn – Backing Vocal |
Luís Jardim – Perccusion |

楽曲解説
1. Fly From Here
悲しげで味わいがある鮮やかな楽曲。
1980年のイエスのアルバム『ドラマ』の頃の未収録曲『ウィ・キャン・フライ・フロム・ヒア』を『イエスらしく拡大構築』を行った楽曲。かなり存在感がある仕上がりになっていると思います。
Overture
ピアノ風のキーボードから始まり、様々な音色のキーボードを駆使して、緊張感を出している『ジェフ・ダウンズ』の作曲力は流石です。要所ごとにヘヴィーにアクセントをつける『ギター』『ベース』『ドラム』の『アンサンブル」も素晴らしいと思います。迫力のあるイントロだと思います。
Pt. I: We Can Fly
1980年の『ウィ・キャン・フライ・フロム・ヒア』よりもスタイリッシュにアレンジされていてスムーズに聴けると思います。『ベノア・デイヴィット』の美しい歌声は素晴らしいと思います。『スティーブ・ハウ』の『ギター・ソロ』も味わいがあり、フックも効いていて素晴らしい構成でプレイしていると思います。
Pt. II: Sad Night at the Airfield
『フォーク・ソング的』なパート。『ヴォーカルの歌唱』も素晴らしいが、宙に舞う様な『スティーブ・ハウ』の『ペダル・スティール』や『繊細なリード・ベース・トーン』など『チーム・ワーク』が素晴らしい演奏だと思います。
Pt. III: Madman At The Screens
オーバーチュアル・パートのリプライズ・パートになります。こういったアンサンブルの効いたパートにメロディをつけているところからすると、『トレヴァー・ホーン』がメロディーを書いている感じがします。このパートで緊張感を再度戻していると思います。
Pt. IV: Bumpy Ride
これまでの流れと全く違った曲調のパートになります。もしこのパートがなかったら平坦な楽曲になっていると思います。『イエスらしいギミック的なフレーズ』を入れてユニークさを出していると思います。
Pt. V: We Can Fly (Reprise)
ウィ・キャン・フライのリプライズ・パートになります。『シンセ・ブラス』を入れていて壮大さを出していてよいと思います。『アウトロー』の『ギター・ソロ』も存在感があってよいと思います。
7. The Man You Always Wanted Me To Be
浮遊感のあるポップ的な楽曲。
独特な浮遊感があり、どことなく可愛らしい感じでユニークな楽曲。『クリス・スクワイア』が『リード・ヴォーカル』を行っていて、自然にスムーズに聴けてしまう魅力があります。
8. Life On A Film Set
悲しげなフォーク・ソングとパワフルなロック・ソングのバランスが絶妙な楽曲。
前半は悲しげな『フォーク・ソング的』な楽曲ですが、中間よりグルーブ感のあるパワフルなパートに切り替わります。『キーボード』を中心にパワフルなグルーブ感は素晴らしいと思います。『ベースのゴリゴリしたトーン』もよいアクセントを出していると思います。『アウトロー』のタイミングをつけた『ギター・ソロ』もよいと思います。
9. Hour Of Need
穏やかなフォーク・ソング的な楽曲。
穏やかでコーラスが心地よく、流れるようなサウンドがとてもよい楽曲だと思います。スムーズな『オリヴァー・ウェイクマン』の『リード・キーボード』も楽曲をより良くしていると思います。『Vachaliaというポルトガル・ギター』がよく楽曲にフィットしていると思います。『イエス』らしい素敵な楽曲だと思います。
10. Solitaire
地中海風でどことなくモダンでギター・ソロ曲。
最初は悲しげな感じですが、徐々に優雅でモダンになっていく展開が素晴らしいと思います。最初に聞いた時にはあまり良くないなと思いましたが、何度か聴いているうちに素敵な楽曲である事を気づいた楽曲です。
11. Into The Storm
軽快なロック・パートと深みのあるロック・パートが絶妙な楽曲。
前半は、軽快なロック・ソングですが、次第に深みのあるロック・ソングに変わっていく展開が素晴らしいです。特に『ベノア・デイヴィット』の『パワフルな歌唱』が素晴らしいと思います。この楽曲でイエスの新しい側面が見えたような感じがしました。前半はコーラスが心地よいのですが、後半は感情的に深みがありとても良い楽曲だと思いました。
イエス関連記事はこちらになります。
『自然発生的に響く完璧な構成のプログレッシブ・ロック名盤『Close To The Edge』/ Yes』
『究極と言う名の神秘的なアルバム『Going For The One』/ Yes』
『さらなる飛躍をしたYesサウンド『An Evening Of Yes Music Plus』/ Anderson Bruford Wakeman Howe』
『新たな要素が光るライブ・アルバム『House Of Yes: Live From House Of Blues』 / Yes』
『完璧なライブ・パフォーマンス『Live At Montreux 2003』 / Yes』
今回、2011年に発売された『Yes』のアルバム『Fly From Here』をご案内させて頂きました。
機会がありましたら、音楽を楽しんでみて下さい。