こんにちは、teruruです。
今回、2007年に発売された『Yes』のライブCD・DVD『Live At Montreux 2003』をご案内致します。
このライブCD・DVDでは、『ライブ・パフォーマンス』『ソング・リスト』『楽曲のミックス・バランス』等全ておいて素晴らしい内容です。『イエス』の中でも一番多くライブを行ってきたライン・アップであり、鮮やかでパワフルな演奏ができるメンバーが集まっていると思っています。
初めて『イエス』を聴く人にも楽しめると思いますし、『イエス』はこうあってほしいという1つの理想の形が、このライブにあると思います。ドラムの『ビル・ブルフォード』が在籍していれば、もっと引き締まった演奏が聴けたかもしれませんが、ドラムの『アラン・ホワイト』は『素晴らしいドラムの音色』と『パワフルなプレイ』で存在感を出しています。
また、『イエス』が結成35周年を迎えた年ということで、『アニバーサリーを記念したフル・サークル・ツアー』というタイトルでツアーが行われました。このツアーで『スイス』の『モントルー』で行われたライブのコンプリート盤が『ライブ・アット・モントルー2003』になります。
筆者も『東京国際フォーラム』でのライブを楽しみましたが、圧倒的なライブ・パフォーマンスに感動した記憶が未だに残っています。『イエス』のライブは今まで4回ほど体験していますが、特に2003年のパフォーマンスは圧倒的に素晴らしかったです。『 東京国際フォーラム』 の音響が素晴らしかったことも大きな要因でもあったと思います。
完璧なライブ・パフォーマンスのポイント
- リック・ウェイクマン復帰
- セット・リストがベスト・セレクトされている
- 楽曲のミックス・バランスがよい
リック・ウェイクマン復帰
『フル・サークル・ツアー』より、『キーボード・プレイヤー』の『リック・ウェイクマン』が復帰したことにより、楽曲がスリリングになる事や美しくアレンジされることは、容易にわかりますので、絶大な安心感があったと思います。
また『イエス』の前作のアルバム『マグニフィケーション』は、『バンドとオーケストラで作り上げたキーボード・プレイヤーなしで制作されたアルバム』です。『リック・ウェイクマン』の参加していないアルバムでした。
『フル・サークル・ツアー』で特に素晴らしいことは、『マグニフィケーション』の収録曲の『マグニフィケーション』と『イン・ザ・プレゼンス・オブ』が取り上げられていて、これらの楽曲をリック・ウェイクマンがプレイしたことにより『より美しく』『よりスリリング』にアレンジされていて素晴らしいと思います。
『イエス』のライブ・アルバム『キーズ・トゥ・アセンション』でギターの『スティーヴ・ハウ』が復帰して以降、特に素晴らしい楽曲だと思っていますので、ご試聴して頂きたいと思っています。
セット・リストがベスト・セレクトされている
特に今回のツアーのメンバーで最大限に力が発揮できる楽曲を選んでいると思いました。比較的に立ち上がりがよい曲を選んでいるとは思っています。
例えば『クロース・トゥ・ジ・エッジ』や『ユアーズ・イズ・ノーディスグレイス』をセレクトされていない点はよかったと思っています。
このツアーのメンバーで『キーズ・トゥ・アセンション』以降は、『クロース・トゥ・ジ・エッジ』のパフォーマンスがあまり上手くいったイメージがありませんでしたので、外してよかったとは思っています。このメンバーで『クロース・トゥ・ジ・エッジ』の演奏を行うと、大体テンポが安定しないことが、ほとんどだったと思います。
『クロース・トゥ・ジ・エッジ』は、『ビル・ブルフォード』が参加していれば、タイトな状態の演奏が聴けるとは思っていますが、『ビル・ブルフォード自身がイエスにこれから参加することはない』と思いますので難しいところだと思います。
『ユアーズ・イズ・ノーディスグレイス』は、特に『ギター・ソロと一体化している楽曲』ですので、『スティーヴ・ハウ』の『演奏のパフォーマンス・コンディションがもろに影響する』のでセレクトされなかったことは、このツアーでは結果的によかったのではないかとも思っています。逆をいうとそれが『ユアーズ・イズ・ノーディスグレイス』の良さでもあると思います。
『イエス』のアルバムの『トーマト』の収録曲の『ドント・キル・ザ・ホエール』を選ばれたこともよい選択だと思います。とてもキレのよいパワフルな演奏を行っていて、ライブ全体にメリハリをつけていると思いました。
『イエス』のアルバムの『フラジャイル』の収録曲 『サウス・サイド・オブ・ザ・スカイ』が『メイン・リストとして楽曲がセット』されたことは素晴らしいと思います。特に演奏しづらい楽曲ですが素晴らしいパフォーマンスを披露しています。
全体的にスムーズで聴きやすいセット・リストになっている思います。
楽曲のミックス・バランスがよい
『ライブ・アット・モントルー2003』は、それぞれの『楽器のミックス・バランスがよくダイナミックになっていて、音圧もありとてもよい』と思います。
このような仕上がりになった理由としては、『イエス』の『オフィシャルでミックスしていない』ことが、よい結果を与えたのかもしれません。もし『イエス』の元メンバーの『ビリー・シャーウッド』が『ミキシングを担当したとしたら、もう少し音を削って綺麗なサウンドにまとめ上げていたのではないか』と思います。
『イエス』を知らない第3者がミキシングを行ったことが、 ダイナミックになったポイントではないかと思っています。
音の分離もよく聴きたいところが、よく聴こえるミキシングになっていますので是非楽しんで頂きたいと思います。
その他の音源はこちらになります。
Yes / Siberian Khatru (Live At Montreux 2003)
Yes / Don't Kill The Whale (Live At Montreux 2003)
Yes / And You And I (Live At Montreux 2003)
Yes / Heart Of The Sunrise (Live At Montreux 2003)
Yes / Awaken (Live At Montreux 2003)
Yes / Live In Lugano 2004
Yes / Songs From Tsongas: Yes 35th Anniversary Concert
Albumlist |
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1. Siberian Khatru |
2. Magnification |
3. Don’t Kill The Whale |
4. In The Presence Of |
5. We Have Heaven |
6. South Side Of The Sky |
7. And You And I |
8. To Be Over |
9. Clap |
10. Show Me |
11. Rick Wakeman Keyboard Solo |
12. Heart Of The Sunrise |
13. Long Distance Runaround |
14. The Fish |
15. Awaken |
16. I’ve Seen All Good People |
17. Roundabout |
Players |
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Jon Anderson – Vocal |
Steve Howe – Electric Guitar, Acoustic Guitar, Pedal Steel, Vachalia, Backing Vocal |
Rick Wakeman – Keyboards |
Chris Squire – Electric Bass, Backing Vocal |
Alan White – Drum |
楽曲解説
1. Siberian Khatru
オリジナルは、イエスのアルバム『クロース・トゥ・ジ・エッジ』の収録曲。
楽曲については、下側のリンク『自然発生的に響く完璧な構成のプログレッシブ・ロック名盤『Close To The Edge』/ Yes』を参照して頂きたいと思います。
『Live At Montreux 2003』では
素晴らしい演奏に仕上がっていると思います。『キーズ・トゥ・アセンション』時よりもグルーブ感はよいと思います。『スティーヴ・ハウ』の『アウトロー』のギター・ソロのまとまりが完璧です。
2. Magnification
オリジナルは、イエスのアルバム『マグニフィケーション』の収録曲。
優雅なフォーク・ロックとエッジの効いたハード・ロックを交差されている表現しているイエスらしい楽曲。
オリジナルでは、『優雅に伸びるようなストリングス・サウンド』と『鋭いストリングス・サウンド』が素晴らしかったと思います。『スティーヴ・ハウ』の『クラシック・ギター的なアプローチ』や『エッジの効いたギター・サウンド』『アウトローの浮遊するペダル・スティール・サウンド』も素晴らしいと思います。
『Live At Montreux 2003』では
『リック・ウェイクマン』が加入したことで、新たにアレンジがされていて、オリジナルよりも美しく、切れのあるサウンドになっています。『ストリングス的なキーボード』のアレンジはインパクトがあり素晴らしいです。
3. Don't Kill The Whale
オリジナルは、イエスのアルバム『トーマト』の収録曲。
4ビートで粘り気があるパワーがある楽曲。
オリジナルでは、『かなり癖がある粘り気のあるヴォーカル』と『ギター・サウンド』が印象的です。『キーボード・ソロ』では、『クジラの声をイメージした音色でプレイしている』ようです。とてもパワフルな楽曲。
『Live At Montreux 2003』では
かなりパワフルで切れのある演奏になっています。ギターのトーンに迫力がありますし、ヴォーカルもパワーがあり素晴らしい演奏だと思います。
4. In The Presence Of
オリジナルは、イエスのアルバム『マグニフィケーション』の収録曲。
賛美歌とクラシック・ミュージックを合わせたような優雅な楽曲。
オリジナルでは、『印象的なピアノ・サウンド』から始まり、『賛美歌のようなヴォーカル・メロディー』が美しく印象的です。『ストリングス・アレンジ』も完璧で優雅に響いていて素晴らしいです。『アウトロー』の『ペダル・スティール・ソロ』も浮遊するようでインパクトがあります。
『Live At Montreux 2003』では
『リック・ウェイクマン』によって、『イントロのピアノ・サウンド』が『クラシック・ピアノのように美しくアレンジ』されていて素晴らしいと思います。『アウトロー』の『ペダル・スティール・ソロ』もオリジナルよりもさらに存在感を増していてパワフルに響いていると思います。
5. We Have Heaven
オリジナルは、イエスのアルバム『フラジャイル』の収録曲。
ヴォーカルやコーラスが多重録音されている独特な楽曲。
オリジナルでは、『変拍子』と『独特な変調が繰り返される』楽曲。『ヴォーカルが多重録音』されていて、『コーラスで楽曲の伴奏や独特なタイミング重圧に詰め込まれている』不思議に軽やかな雰囲気を出している。
『Live At Montreux 2003』では
『フラジャイル』では『サウス・サイド・オブ・ザ・スカイ』の前に前奏曲のような位置に配置されていた為に使用された楽曲だと思っています。全体的に『ピアノ・サウンド』が散りばめられていて素敵な仕上がりになっていると思います。
6. South Side Of The Sky
オリジナルは、イエスのアルバム『フラジャイル』の収録曲。
ミディアム・テンポでエッジの効いたロック・パートとクラシック・ミュージック的なパートを交互に配置したモダンな楽曲。
オリジナルでは、『スティーヴ・ハウ主体のエッジの効いたギターのセクション』と『リック・ウェイクマン主体のピアノ・パート』が対象的な楽曲。楽曲全体がモダンでクールで聴きごたえがある素晴らしい楽曲です。
『Live At Montreux 2003』では
全体的に鮮やかにプレイされていて素晴らしいと思います。『アウトロー』の『エレクトリック・ギター』と『キーボード』の『インタープレイ』も壮絶で聴きごたえがあります。
7. And You And I
オリジナルは、イエスのアルバム『クロース・トゥ・ジ・エッジ』の収録曲。
楽曲については、下側のリンク『自然発生的に響く完璧な構成のプログレッシブ・ロック名盤『Close To The Edge』/ Yes』を参照して頂きたいと思います。
『Live At Montreux 2003』では
ライブ・アルバム『An Evening Of Yes Music Plus』に近いくらいの素晴らしい演奏を行っていると思います。『リック・ウェイクマン』の『キーボード・ソロ』はスムーズに展開されていて素晴らしいと思います。
8. To Be Over
オリジナルは、イエスのアルバム『リレイヤー』の収録曲。
賛美歌のような壮大な楽曲。
オリジナルでは、緩やかなに流れるような『賛美歌風のヴォーカル』が印象的な楽曲。中間では可愛らしいユニークな展開が施さていました。最後に進むほどヴォーカルが重圧になり、独特な感情が伝わる楽曲です。
『Live At Montreux 2003』では
『スティーヴ・ハウ』の『ギター・ソロ』でコンパクトにまとめられています。このバージョンの方がコンパクトにまとめられていて聴きやすいと思います。『アコースティック・ギター』で素晴らしく歌い上げられています。
9. Clap
オリジナルは、イエスのアルバム『ザ・イエス・アルバム』の収録曲。
楽曲については、下側のリンク『さらなる飛躍をしたYesサウンド『An Evening Of Yes Music Plus』/ Anderson Bruford Wakeman Howe』を参照して頂きたいと思います。
『Live At Montreux 2003』では
『スティーヴ・ハウ』が、完璧で職人的な『ギター・ソロ』を展開していて素晴らしいと思います。
10. Show Me
悲しげなフォーク・ソング的な楽曲。
『ジョンアンダーソン』の弾き語りで披露している悲しげな楽曲。終盤から『リック・ウェイクマン』が『チェンバロ的なリード・キーボード』でサポートしていて心地よいとプレイを行っています。
11. Rick Wakeman Keyboard Solo
『ピアノ的なソロ』から始まり、『オルガン』と『ムーグ・シンセサイザー』を駆使した壮絶な『キーボード・ソロ』を展開しています。いつもながらキレキレのプレイを行っていて素晴らしいです。
12. Heart Of The Sunrise
オリジナルは、イエスのアルバム『フラジャイル』の収録曲。
楽曲については、下側のリンク『さらなる飛躍をしたYesサウンド『An Evening Of Yes Music Plus』/ Anderson Bruford Wakeman Howe』を参照して頂きたいと思います。
『Live At Montreux 2003』では
感動的でかつ切れのあるプレイを展開していると思います。このラインアップでの『ハート・オブ・ザ・サンライズ』では、かなりよいバージョンであると思います。映像では、『クリス・スクワイア』が『スティーヴ・ハウ』に歩み寄っていますが無視されています。よくある事ですね。
13. Long Distance Runaround
オリジナルは、イエスのアルバム『フラジャイル』の収録曲。
楽曲については、下側のリンク『さらなる飛躍をしたYesサウンド『An Evening Of Yes Music Plus』/ Anderson Bruford Wakeman Howe』を参照して頂きたいと思います。
『Live At Montreux 2003』では
可愛らしい楽曲を楽しそうにスムーズにプレイしていてよいと思います。
14. The Fish
オリジナルは、イエスのアルバム『フラジャイル』の収録曲。
ベースを多重録音したクリス・スクワイアのソロ曲。
ロック的で独特のグルーブ感が印象的な楽曲です。中音域の効いたベース・サウンドでゴリゴリと押していくダイナミックな表現がよいと思います。
『Live At Montreux 2003』では
イエスの楽曲の『テンパス・フュージット』や『オン・ザ・サイレント・ウイングス』の『ベース・ライン』を取り込んで盛り上げています。最後に『エレクトリック・ギター』と『キーボード』が加わって鮮やかに終了しています。
15. Awaken
オリジナルは、イエスのアルバム『ザ・イエス・アルバム』の収録曲。
楽曲については、下側のリンク『究極と言う名の神秘的なアルバム『Going For The One』/ Yes』を参照して頂きたいと思います。
『Live At Montreux 2003』では
オリジナルに負けない幻想的な空間を作り上げていると思います。素晴らしいバージョンだと思います。
16. I've Seen All Good People
オリジナルは、イエスのアルバム『ザ・イエス・アルバム』の収録曲。
楽曲については、下側のリンク『さらなる飛躍をしたYesサウンド『An Evening Of Yes Music Plus』/ Anderson Bruford Wakeman Howe』を参照して頂きたいと思います。
『Live At Montreux 2003』では
前半のパートは壮大に表現されていて、後半のパートはかなりよいグルーブ感でプレイされていて素晴らしいバージョンだと思います。
17. Roundabout
オリジナルは、イエスのアルバム『フラジャイル』の収録曲。
楽曲については、下側のリンク『さらなる飛躍をしたYesサウンド『An Evening Of Yes Music Plus』/ Anderson Bruford Wakeman Howe』を参照して頂きたいと思います。
『Live At Montreux 2003』では
疾走感もあり、グルーブ感も最高のかなりよいバージョンだと思います。『リック・ウェイクマン』の『キーボード・ソロ』も圧巻です。
関連記事はこちらになります。
『自然発生的に響く完璧な構成のプログレッシブ・ロック名盤『Close To The Edge』/ Yes』
『究極と言う名の神秘的なアルバム『Going For The One』/ Yes』
『さらなる飛躍をしたYesサウンド『An Evening Of Yes Music Plus』/ Anderson Bruford Wakeman Howe』
『新たな要素が光るライブ・アルバム『House Of Yes: Live From House Of Blues』 / Yes』
『イエス・ミュージックらしく構築された名盤『Fly From Here』 / Yes』
今回、2007年に発売された『Yes』のライブCD・DVD『Live At Montreux 2003』をご案内させて頂きました。
機会がありましたら、ご試聴頂きたいと思います。